テレビの歴史を垣間見る
私の知るテレビの歴史を語ると年齢がバレますが、語ってみる事にします。
私が子供の頃はまだテレビがモノクロでした。既にカラー放送はされていたので、金持ちだったらカラーだったんでしょうけど、うちは貧乏だったのでモノクロしかありませんでした。でもそんな家は幾らでもあった時代です。
画面の割にガタイがデカくて、16インチとかそんなもんだったんじゃないでしょうかね。チャンネルは「回す」ものでした。ちなみにNHK「テレビ放送の歴史」で紹介されてる「ブーフーウー」は何となく記憶にあるようなないような…。幼稚園で皆んなで「お母さんと一緒」を観ていたら、そこにいる同じ組の子とそっくりな子が出ていて、皆んなから冷やかされていた。皆んなで観ていたのは、その子が出演したからだったのだろうけど、何時も一人だった私にはその情報は入らず、また当時の私に「録画」の認識がなかったので、「ほんとそっくりだねぇ」と思いながら観ていたと言う…。
カラーテレビが入ったのは小学生になってから。共働きで不在がちだった両親が「子供達に」と買ってくれたもの。
でも野球シーズンやオリンピックなんかが始まると、私の観たい番組は先ず観れなくなったので、結局モノクロのテレビで一人観ると言う状況でした。
テレビの記憶はこの頃からハッキリし出してますが、カラー放送になったとは言えまだモノクロが混在していて、新聞のテレビ欄に「カラー」とか書かれてました。また私はずっと東京にいるのでテレビ局はVHFで1から12までのチャンネル、NHK(1)・NHK教育(3)・日本テレビ(4)・TBS(6)・朝日(10)・テレビ東京(12)の6局でした。一番新しかったテレビ東京が朝9時にならないと始まらなかったのを覚えています。また当時はよく放送トラブルを起こしていて、「しばらくお待ちください」と書かれた静止画が流れて放送が中断されたりしていました。あの静止画が何故か怖かった私。生放送が多かったからアクシデントも多かったし、今考えると面白いくらいドタバタしてましたね。
何度かテレビを買い替えてるうちにチャンネルがダイヤルからボタンになりました。
うちのテレビはボタンを押せばすぐチャンネルが変わりましたが、友達の家のテレビは同じボタンでも、ダイヤルをボタンにしただけなので、回さないけど勝手に回してる感じで目的のチャンネルに到達するまで待たされました。
子供の頃の私はよく熱を出しては寝ていて、そーゆー時はテレビを好きなだけ観せて貰えたのですが、チャンネルを変える時は、誰かに変えて貰うか、布団から出て自分で変えるかだったので、リモコンがあれば…と思ったものですが、そのリモコンが出ました。今では当たり前ですが、当時としては学期的でした。「動かなくていい」んですから。
そのうち大人になってきて、自分の部屋にテレビを置く様になり、一人一台みたいな感じになりました。
気づけばとっくに「しばらくお待ちください」なんて事は滅多に起こらなくなっていて、生放送もリアルタイムでなければ意味がないスポーツやニュース番組以外は数少なくなりました。
今やテレビはデジタルになり、BSやCS等も当たり前になって凄い数のチャンネルを観る事が出来る様になりました。
私はかつて、テレビ東京にモノクロの放送をして欲しいと数少ない署名を集めて送った事があります。「ご期待に添えず…」と丁寧な返事を貰いましたが、今ではチャンネル数が増えた事でモノクロの映像も観る事が出来る様になりました。モノクロの時代劇を観ていて思ったのですが、モノクロでも足袋が汚れているのは判るんです。でも草履で砂埃の中や泥だらけの道を歩くのに綺麗であるはずがないのです。道路の舗装がまだ整備途中だった時代では、普通に歩いているだけでも汚れてしまったものと思われますが、その薄汚れ加減がリアルなのです。直接観ているかの様な美しさがウリの今のデジタル放送でそれをやれば「汚い」としか思わないでしょうが、モノクロのフィルターにかけるとリアル感が出るのに「汚い」とは感じないのです。今でもたまに映画がモノクロで作られるのも、そんな効果を狙っての事でしょう。モノクロ時代のテレビは技術の拙さはあっても、今では出せない「味」があります。技術がどんどん進んでそのうち家でも3Dとかを普通に観れる時代が来るのかもしれませんが…。
テレビの変化で劇的に感じるのはコンプライアンスの厳しさが増した事です。
それこそテレビがまだ一般に普及していなかった頃は、平気で戦争や殺人現場の死体が映っている映像を放送してました。私が観たのは時代的には70年代頃で「映像で観る事件史」の様な番組で流れ、モノクロの映像の悪さから少しはエグさが抑えられるものの、まだ大人とは言い難い年齢でもあったのでやはり衝撃的でした。今なら絶対ソコは放送しないですよね。実際それ以降はちょくちょく似た番組がありましたが、ソコの部分は流れていません。
これから先、技術がますます進み、「人道的」である事がより重要視されて行くのだろうと思いますが、良いと言われた作品は文化としての映像として、観る側に時代背景を考慮してもらう事で、再放送して貰いたいものだと思います。
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