私に少女漫画を読ませた漫画家・和田慎二
私が最も少女漫画を読んでいた理由は、和田慎二先生の作品による所が理由でした。
もともとマンガは読書家だった母が、私を本に慣れさせようとマンガを勧めたのが始まりです。そう言われても何を買っていいのか判らず、特に理由もなくマーガレットを買いました。
特にハマる事はありませんでしたが、本は読んでいたので効果はあったのかもしれません。ただ友人か知人に借りたマンガがきっかけだと思いますが、その中にあった「超少女明日香」が面白く、掲載誌であった「花とゆめ」(白泉社)に同じ作者の和田慎二先生の「スケバン刑事」があり、面白かったので買う様になりました。(多分…記憶が曖昧なので…汗)
知らなかったのですが、和田先生は2011年に亡くなられていて、もう新しいマンガは読む事が出来なくなっていました。物凄く今更ながらショック…。ほんとに今更ですが、ご冥福をお祈り申し上げます。
結婚前に大量に持っていたマンガ本を殆ど処分してしまったので、和田先生の作品も手元にありませんでしたが、数年前に古本屋で見つけた「超少女明日香」を懐かしくて思わず買いましたが、今でも充分面白いです。恐らく最も有名なのは実写化された「スケバン刑事」だろうと思いますが、実写化はどれも好きではなかったので、斉藤由貴さんが演じた最初の作品を少しだけ観た程度です。原作マンガと実写版の比較は後日まとめてお話するとして、どハマりして最後まで買って読んでいました。その次の連載は「ピグマリオ」だったかな?読んでましたけどそこまでハマらず、そのうち興味が少年誌になって、「チャンピオン」(秋田書店)の「ドカベン」を読み出して、少女漫画は買わなくなりました。
和田先生の作品は、割と非日常的な…と言うか、現実離れしていると言うか、あり得ない設定が含まれている事が多いです。独特の絵面でありながらも、線のタッチがハッキリしていてわかりやすく観やすい画風でした。よく使われていた悪役キャラの三白眼はちょっと仮面みたいで怖かったですね(^_^;)。手塚先生と同じスター・システム(「キャラの使い回し」と私は言ってました…汗)を継承されていて、ある本では主人公のキャラが他の作品にもサブとして出て来ていました。なので「スケバン刑事」で神恭一郎が死んだ時は、他の作品でももう出て来ないのか…と思ったりしました。
作品と感想をまとめたいと思います。
超少女明日香 1975年〜2011年(未完)
飛騨の山奥で浮世離れした集落から来た明日香と言う少女が自然が味方する力(早い話が超能力)で、集落を滅ぼした犯人に復讐する…って話です。復讐劇はこの段階で完結するのですが、「明日香ふたたび」「ふたりの明日香」等の続編が幾つも出ていて、拠点はお手伝いさんとして働いてる一家になります。長男の一也とだんだん好き合ってくるのですが、絶対に成就させないと言う和田先生の意図がよく見える作品です(笑)。単行本は今はもうまとめて「超少女明日香」全7巻で販売している様です。
確かに飛騨は自然いっぱいだけど、そんな人知れない孤立した様な集落なんてあるのか?って当時から思ってました。自然が味方しての超能力…は判らないでもないんですけど、それにしても身体能力半端なくて忍者集落だったのかなと言う印象です。でも面白かったのと、なかなか迫力ある画風で、劇画と言っても良いんかじゃないの?と思える様な作品でした。普段鬱陶しい程前髪で見えない目を、一也がかき上げるシーンがあるんですけど、チンクシャと言われたその顔がとても可愛いです。
スケバン刑事 1975年〜1982年
実写化されたので一番有名だと思います。
死刑囚の母親を救ける為に、少年院を脱走して学生刑事になるんですけど、脱走不可能と言われる様な密林の中に少年院があって、関係者もヘリで来るんですよね。おまけに闘争本能を失くさせる為に、夜も煌々(こうこう)とライトを照らして安眠させない非道ぶり。院長は同性愛者で自分好みの子を理由つけて入所期間延ばしたり、絶対にあり得ないと当時から思ってました。主人公・サキの過去も壮絶極まりなくて、父親の膝に座って絵本読んで貰っていたら、いきなり母親が斧で父親の首切って、その首がゴロンと目の前に落ちてくるんですよ!しかもサキの方を向いて。トラウマなんてもんじゃないですよね。サキを嫌ってサキの妹を溺愛する母親だけど、この仕打ちはさすがにないでしょって思う。まぁ内容の中にもショックの余りに、眠れず食べられず動けずになったサキを「特筆すべきは医療従事者の尽力」で通常生活に戻った…とはあったけど…。これ、少女漫画だよね?と思いつつ読んでました。そう言えば和田先生のマンガはわりとグロい所もあったので、好きじゃないと言う人もいましたね。ゴロンと落ちて父親の顔がサキの方に向いた時のコマは、私も今でも覚えてます。合わせて父親の悲壮な表情はその時点で結構グロいです。
最後は意外とあっさり死んじゃいましたね。他作品では主人公だった神が先に死んでしまうけど、まさかサキと結ばれるとは思わなかったです。ちなみに私が書いてる小説に出てくるキャラの髪型はこのサキの影響を受けて、長い髪をゆるく束ねてます。マンガ描くほど上手くないけど、挿絵程度の絵は描けるので。小説そのものは公開してますが、絵までは載せてないので観ても解らない、意味のない情報ですみません。
アクションシーンはかっこいいですよ。実写版し知らない人が読むと、原作から入った人が実写版は別物だと思うのが判ると思います。
銀色の髪の亜里沙 1973年
銀色の髪ってかっこいいなぁ…と思って読みましたw。実は銀色って染めても簡単に銀色にならない超難しい色らしいです。髪の色素には赤と黄色しかないそうです。銀にしようと思ったら青が必要だし、色を抜いて青を入れた所で灰色にはなっても光沢のある銀にはならないので、あくまで銀色っぽく見せるしかないとか…。話が逸れました。
これまたあり得ない世界な訳ですが、社長令嬢の主人公・亜里沙が友達と思っていた子達とその親の陰謀で、親は会社を乗っ取られて、亜里沙は突き落とされて入り込んだ洞窟の中で、学者夫婦と出会ったり、翡翠の層があったり…で、知力体力を磨き、脱出出来た時は大金持ちになって復讐に動くと言う…。翡翠を何処で換金したのかが凄く気になってましたw。ずっとと地下の洞窟に住んでたんだから、綺麗な服なんてある訳なくて、ボロボロの服着た高校生位の子が、翡翠の塊持って行って換金しに行くのって、怪し過ぎませんか?その後の復讐劇そのものは追い詰めるだけで、手を汚す様な事はしないので、綺麗な形で復讐出来てますけど、出来過ぎです。でも当時は羨ましかったです。普通なら厳しいだけの条件下に置かれてるのに、逆にそれを活かす条件は揃っていて、頭脳明晰・スポーツ万能のお金持ちになった亜里沙が。まぁ家族は失ってますけどね。あ、でも亜里沙はもともとお金持ちでした。
懐かしいなぁ…また読んでみたいので、今度の休みにブックオフにでも行ってこよう♪
わが友フランケンシュタイン 1972年〜1976年
タイトルを観て、Wikipediaで内容を読んで、あーと思い出しました。
主人公・ミアは醜い痣を気にして心を閉ざすんですけど、優しいフランケンシュタインとの交流で、心を開いていく…と言う優しくもちょっと寂びしい話です。その他短編読み切りが何話かあるですけど、和田先生得意のちょっとだけグロい要素にも、優しさ感じる作品なので、グロい部分が人の心に訴えかけるものがあります。グロいと言ってもグロいシーンがあるのではなく、フランケンシュタインの絶対誰も近寄りそうにない風貌がグロいと言う意味です。見た目で判断しちゃいけないって事を思い切り言われている感じですね。
お嬢さん社長奮戦中!! 1972年
「銀色の髪の亜里沙」に収録されてます。16歳で亡くした父の代わりに社長になった主人公・由美が、嫌がりながらも社員に守られて社長らしくなっていく話です。最後に父の悲願だったシルク生地が完成し、これで娘の花嫁衣装を作るのが夢と聞かされて泣く感動のシーンで終わります。このシルクが「ムーンライトシルク」と命名されていて、解らないけど、あったら欲しいなと思ったりしてました。このシルクを広げるシーンの絵がですね…シルクを思わせる様な絶妙なトーンを入れてるんですよ。それがやたら印象に残ってます。いやぁほんとに上手い絵ですよ、和田先生!
他にも「愛と死の砂時計」とか「怪盗アマリリス」とか「時計じかけのオレンジ・ジャム」とかいっぱい読んでるんですけど、今となっては読んだ記憶しかないので、とてもとても感想等ムリなので省きます。
結構クサしてますが、以降少年漫画に移行しても不思議ではない流れだなぁと思います。女の子だから少女漫画から始めただけで、もともとベタな女の子マンガは好きではなかったんだなと思います。デッサンのズレた絵面が今も苦手ですが、当時も苦手で、リアルな世界がピカソに見えてくる感覚だったんです。平衡感覚がズレてしまうような感じの…。今にして思えば…ですけどね。なので和田先生のしっかりした作画はすんなり読めて、内容もあり得ないけどマンガだし、面白かったからいいやって感じで読み入ってました。
亡くなられたのは実に残念ですが、今でも作品が生きてるって事は本当に羨ましいし、凄い事だと思うので、またこれを機に古本屋巡りでもしたいと思います。
あ…
唯一マーガレットで記憶しているのがありました。「つる姫じゃ〜っ!」と言う土田よし子先生のギャグマンガ。面白かったけど、好きとは言えなかったですね。あんまりギャグマンガって読まなかったんで。
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